父の歯医者での出来事。梅干しの種を噛んでしまい残り数少ない貴重な自分の歯が欠けてしまったということで先週に続き2回目の治療でした。
近所の歯医者は自宅から約一キロの距離にあり、元気な時はゆっくり歩いて通院していましたが、ここ最近ずっとお腹の調子が良くなくて便を漏らすことが続いていたため、先週に引き続き、昨日も私が車で送迎しました。
先週はセーフだったのですが、今週は歯の治療中に漏らしてしまい病院に大変迷惑をかけてしまいました。父を車に乗せる時はシートをガチガチにビニールシートで養生してバスタイルを何重にも敷いて便漏らし対策をしていますが、歯医者ではそんな対策は当然していないでしょうし、大丈夫だったのか…。謝罪はそこそこに、とりあえずは父を自宅に送り届け、すぐに歯医者へお詫びの菓子折りを持って伺いました。
先生は、”消毒しましたから大丈夫です。また痛くなったらいらしてください”、と言ってくださいました。治療中に便を漏らす患者です。二度と来るな、と言われても仕方ないのに…。本当に申し訳なく恐縮してしまいます。午前中最後の診察で父の後に誰も待っている人がいなかった、ということが不幸中の幸いでした。
午後には内科病院へ診察と薬をもらいに行く予定でしたが、勿論歩ける状態ではありませんのでキャンセルすることに。母が、別の日に薬だけ取りに行く、と言っていましたが、母も父の下の世話やら後始末や何やらでガックリ憔悴しきっていましたので、私が代わりに行くことにしました。
内科の病院は歯医者よりさらに近くて500メートルもないくらいでしょうか…。わざわざ車で行くほどの距離でもないので歩いて向かいます。受付で「本日診察予定でしたが体調を崩して歩くことができないので、お薬だけお願いします」と言うと、こちらも快く受けてくださいました。
軟便が続いているここ数週間、歩けば漏れる、という状態らしいので、歩く気力がないというか、かなり落ち込んでいて精神的に参っている感じの父です。大腸癌を患い大腸を切除した関係でうまく便の調節ができず便秘と下痢を定期的に繰り返しています。調子がいい時と悪い時の差が激しく、今は最悪の状態です。
病院から処方された下痢止めの薬を飲むと下痢は止まるものの、薬に含まれる成分と父との相性が悪いのか、副作用で”乖離”の症状が出て意味不明な言動をするので容易には飲めません。医師である姉の計らいで、ビオフェルミン整腸剤、漢方薬で体質改善も試みてはいますが、どれも一時的には良くなるものの、完全な解決策ではないようです。
便秘でも苦しいし、下痢でも辛い…。お尻の筋肉が緩く堪えることができず、まったなしで漏れてしまう。父は今すごく弱り切っている状況だと思います。下の世話をする母も厳しい状況。87歳父の介護をする83歳の母。老老介護で厳しいです。
数百メートルも歩くことが困難になり通院ができなくなったら、訪問診療や介護タクシーを使うことも視野に考えなければなりません。介護認定を受けること、父が受け入れてくれればいいのですが頑なに拒否します。認知症検査も受けたくない、介護認定も受けたくないでは、母の負担が増すばかりです。
今は私が車で送迎しているので問題ないですけど、この状態が何年も続くようだと真剣に考えないといけないと思います。今一番恐れていること、それは母が父より先に介護疲れで倒れてしまうことです。今の父は、母なしで一人では何一つできません。
そんなとき、大江健三郎さん88歳老衰死去のニュースが入ってきました。歯医者で体力を使い果たしたのか、疲れてスヤスヤと眠っている父を見て、このまま二度と目を覚まさなければ父も母も私も幸せなのかな…、などと考えてしまいました。こんなことを考えてしまう自分がつくづく嫌になります。
一日でも長く生きて欲しい気持ちはあるのです。でも、それは健康であれば、という条件の下で言えること。思い通りにならなくて辛そうな父と介護で憔悴しきっている母を見ていると、生きていることが幸せだとは思えない瞬間があるのです。
複雑です。いつまでこの状況が続くのか?介護の終わりが見えない。終わりが見えないからこそ”いつまで続くのか”、と悲観してしまう。命が尽きる瞬間まであと何日、と分かっていれば頑張れるけど…。こればっかりは分かりません。そう考えると、ある程度の高齢であれば、”あと数日(または数カ月)ですよ、”とか、余命宣告を受けた方が幸せなのかな、なんて思ったり…。
実家から戻り車を消毒して空気を入れ替え消臭剤を噴射してお漏らしの形跡を完全排除します。そんなこんなで色々あって疲労困憊の一日。夕食を作る気力がなくて、スーパーのお総菜ですましてしまいました。
夫と喧嘩した話なんて、父のお漏らし事件に比べたらなんてことない。朝は少しギクシャクしていましたが、仕事から帰ってきた夫は普段通り、普通に戻っていたので安心しました。私も大変な一日で喧嘩していたことをすっかり忘れていました。鬱々した気持ちを一気に晴らしてくれる夫は私の癒しです。夫と喧嘩した話は別記事で
一日一日自分ができること、後悔しないよう精一杯やるしかないです。
お読みいただきありがとうございました。