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デアデビルを見て人が闇落ちする理由について考える話

人が闇落ちする瞬間はどんなときだろう?踏みとどまる人と闇落ちする人の違いは何だろう?そんなことを考え、その答えを見つけたような気がしました。

暇に任せてNetflixで制作されたマーベルドラマ”デアデビル”シーズン1~3の計39話を一気見しました。一日で5~6話づつ、約1週間かけて見ました。

デアデビル(マット・マードック)が昼は弁護士、夜は闇ヒーローとしてひたすら悪者を退治するマーベルヒーローです。マットは敬虔なクリスチャンで”殺さない”をモットーにしています。どんな極悪人でも殺してはいけない、法で裁く。

治安は悪くなり夜の闇ヒーロー活動が多くなるにつれて親友フォギーとの関係に亀裂が入り始めます。フォギーを巻き込みたくなくて自分がデアデビルであることを隠しています。デアデビルの行動を疎ましく思う闇の権力者フィスクは、ビジネスを妨害したカレンや新聞記者、マット達に攻撃を加え始めます。

マットは自分が原因で狙われるフォギーやカレンを巻き込みたくないという想いから二人を遠ざけるようになります。でも、そんなマットの想いをよそに二人は最後までマットの味方で陰ながら支えています。

マットがデアデビルであることが親友フォギーにバレてからは対立も深まりますが、そこに仲裁に入るカレンを交え物語はクライマックスへ向かいます。

シーズン2はマットの”殺さない”信念を真っ向から否定する闇の処刑人”パニシャー”だったり、殺人を何とも思わない残酷な殺人最終兵器”エレクトラ”がでてきたり、謎の忍者軍団だったり、かなりバッサバッサと人を殺すので急につまらなくなりました。残酷なシーンが多く見るに堪えませんでしたので途中早送りしながら見ていました。

シーズン1はデアデビル誕生までの話、シーズン2はマットと親友フォギーとの軋轢と決別。宿敵フィスクの刑務所内での暗躍、カレンとの関係など、シーズン3へ向けて必要な物語だったのかな、と思います。

シーズン2で視聴を止めた方はもったいないことをしました。このドラマのクライマックスはシーズン3です。注目すべきはマットの宿敵ヴィランであるフィスクの動きです。シーズン1で刑務所に送ったフィスクがシーズン2では刑務所内で力をつけシーズン3ではFBIをわが物にし操って陪審員も脅し司法まるごと乗っ取るのです。

闇ヒーロー”デアデビル”ではフィスクは倒せない。マットは絶望してしまいます。多くのヒーローがぶち当たる絶望あるあるです。

デアデビルのスーツを捨てアパートを出たマット。エレクトラを失ったマットは絶望を味わい身も心もボロボロ。そんなマットを支えたのは信仰。自分の中の悪魔をどう抑えるか?神父と修道女の助言に従いフォギーとカレンの協力を得て本来の”法で裁く”マット・マードック(弁護士)に戻りました。

なんとか良心の欠片が残るナディーム捜査官の証言を得て大陪審を開くことに成功しますが、陪審員はすでにフィスクの手に落ちていて裁くことはできませんでした。法でも裁けないと知った現実に太刀打ちできないと感じたマットはとうとう”殺すしかない”という決断に至ってしまいます。マットが闇落ちした瞬間です。

しかし、そんなマットを救ったのは親友のフォギーでした。殺されたナディーム捜査官が死を覚悟して証言を動画で残しフォギーに託したのです。死を覚悟したナディーム捜査官の臨終供述は証拠になる、これでフィスクを刑務所に入れることができる、何とかマットに知らせたい。マットにフィスクを殺してほしくない。

そのフォギーの想いはマットに届きました。フィスクを殺すのではなく法で裁く、最後までフォギーが貫いた想いに応えたマット。悪魔に打ち勝った瞬間です。たぶん、いや、絶対フォギーやカレンがいなければマットは確実に闇落ちしていたと思います。

逆に闇落ちした人、FIBのナディーム捜査官やその上司はなぜ?それは、愛する人を守るため。ナディームの上司に至っては、二人いる子供のうち一人を(事故に見せかけて)殺され愛する夫への危害を恐れ離婚した挙句、残った子供を守るために闇落ちしてしまっています。ナディーム捜査官もその上司の罠にはまり気づいたときには闇落ち。

精神的に問題があるデックス捜査官も同様です。フィスクに狙われて陥れられたと言っても過言ではありません。デックスの過去を調べ上げ不安にさせ孤立を作りその上で自分は理解者であると寄り添う。でも裏ではデックス捜査官を支配するために、デックスの愛する人を殺しているのです。

最終的にデックス(偽デアデビル)は真実を知りフィスクを襲うのですが、そこに止めに入るマットと最後は三つ巴の戦いになり、フィスクは愛するバネッサを守るためマットの条件を全て飲み法で裁かれることになります。

デックスは今でいう失うものが何もない孤立無援の無敵な人。ナディームは巻き込まれ一度は闇落ちしたけど、誇れる父親でありたいという想いから正義を貫き犠牲になった人、陪審員愛する人や生活を守るため悪に加担した平凡な人々。

闇落ちしないために必要なのは秘密のない関係と全てを共有できる理解者、そして愛する家族や友人なのだと思います。偉い立場になると利用されることが多くあると思うし、狙われることも多い。だから何も権威を持たないことが正解。私はそう思います。でも稀に平凡でも巻き込まれることがあります。ドラマの中で言うなら選ばれた陪審員の人達です。

陪審員はフィスクが悪いと知りながらも脅されていて逆らえず言いなりです。自分の周辺さえ守れれば他の誰かが犠牲になったとしてもそれは仕方のないこと。必要な犠牲だと言い聞かせる。嫌だけど、権力者の前に抗うこともできない。

このドラマで一番の鍵はナディーム捜査官だと思います。一度は罠にはまり闇落ちしたものの、自分のした罪を認めフィスクの悪事を証言することを決めた正義の人です。息子に誇れる父親でいたい。ナディームの姿にマットは父の姿を重ね見たのだと思います。だからこそナディームの良心に期待し、父の選択を理解したのだと思います。

闇落ちするときは愛する人と共に…、それが、フィスクとバネッサの関係でもあったのかな、と。バネッサは愛した人と全てを共有したいために闇落ちした。愛した人がたまたま暗黒街のボスだった、それだけの話。

いやいや、そこはフィスクが、愛するバネッサのために足を洗うべきだったのでは?と思ってしまいます。結局は闇落ちしたバネッサのためにまた刑務所に入るわけですから、因果応報ってやつですね。人を愛するということは人を狂わせます。

”殺せ”と言うフィスクに”生きて償え”というマット。”殺す”行為は”堕落”すること。マットは”殺したい欲望”に打ち勝ったのです。MIU404で志摩さんが言った「生きて、ここで苦しめ」というセリフが蘇ってきました。生きることは苦しいこと。

フィスクが生きて逮捕されたことに安堵するフォギーとカレン。愛する人と一緒に暮らすという幸せを永遠に失ったフィスク。最後マットとフォギーは一旦閉めてしまった法律事務所をカレンを加えてまた新たに構える方向みたいだし、まあまあハッピーエンドで良かったな、という感想です。シーズン3に限ってはとても満足できるものでした。

デックスはフィスクとの戦いで頸椎損傷し、その後背骨を金属補強する手術シーンでブルズアイ(デアデビルの敵)に覚醒する続編への含みが感じられるのラストカットでしたが、期待されたシーズン4はなく、諸事情により打ち切りになったようです。まあ個人的には終わり方に満足しているのでこれで完結でいいのかと思います。

Netflixとディズニープラスの権利争いがありそうです。スパイダーマンソニーピクチャーが制作しているからなのか、未だに最新作ノーウェイホームのディズニープラスでの配信はされていません。同じくX-MEN20世紀フォックスが制作しています。

ただ、ノーウェイホームでマット・マードックを演じたチャーリー・コックスがピーターの弁護士役として出演していたようなので、ソニースパイダーマンNetflixのマット・マードックは同じ世界で活躍していそうです。

愛する人を守るために悪いことはしない、そして正直に真面目に生きること。それが一番です。優しい嘘は必要ですけど。いろいろ複雑なんです。ヒーローものを見ていると気づくのですが、敵役のヴィランにも闇落ちした悲しい理由があって切なくなります。頭のオカシイ下衆な卑しい人で溢れているここ最近の日本ですが、根っからの悪者なんていない、と信じたいのかも知れません。

アナキンが闇落ちしてダースベイダーになった理由もそれはそれは切ないものでした。最後はパルパティーンを倒したのですから、やっぱり悪になりきれず子を想う良心が残っていたのでしょう。今度はスターウォーズを時系列順に見直そうかな…。

デアデビルドラマシリーズに興味を持った方がいらっしゃいましたら、ディズニープラスで全部見れます。映画バージョンはまだ見ていません。主役がベン・アフレックということでイマイチ見る気になれません。役者次第ですね。

ドラマ版のチャーリー・コックスをこき下ろす口コミが多いですが私は肯定派です。いい俳優さんだと思います。個人的にはやっぱりシーズン3のナディーム捜査官が一番魅力的でした。殺されちゃいましたけど…。良い人って犠牲になりがちですよね。

私は弱い人間ですから、脅されたら絶対言いなりになると思いますけど。裕福じゃないし、権力もないし、妬まれたり恨まれたり脅されるような要素は今のところないので、裁判員に選ばれないよう祈るだけです。ホント、迷惑な制度です。

闇落ちする人間の共通点、それは”絶望”なのだと思います。絶望してる暇がないくらい忙しい、と三澄ミコトが申しております。ドラマ中毒かも。暇がありすぎるのも問題かも、です。さ、掃除しよう。

背負うものが多い人とか、守るべきものがある人、弱みを握られる人もダークサイドに落ちやすいように感じます。

絶望することはないし、背負うものもない私は闇落ちから最も縁遠い幸せ者です。

お読みいただきありがとうございました。