10年間の旅行会社勤務後、添乗員として働いていた私は、冬季は仕事が極端に減ってしまうので、その年も呑気に旅行の計画をたてながら過ごしていた。安定とは程遠かったが、私にはこの生活スタイルが合っていて気に入っていた。
結婚する前はこれで海外添乗の資格とったら一生楽しく生きていけるわ、って思っていた。実際は、海外添乗デビューした途端に結婚したので、海外に添乗で行けたのはほんの数回で、アサインされた国はイタリアとカナダの二か国だったけど、それでも大満足だった。イタリアでは、ポンテヴェキオの中にあるヴァザーリの回廊を見学するツアーに大当たりしたし、最後の晩餐見学も大当たり。ヴァザーリに関しては一般公開すること自体が稀だから、レアなツアーがアサインされて大感激。これこそ添乗員の仕事冥利だと思う。基本的に仕事内容やツアーを選ぶことはできないから、そのツアーがアサインされたことは本当に運が良かった。
結婚してからは、主婦業の傍ら国内添乗を月3本~4本のペースで続けていた。例年冬季は仕事が少なく、ほぼほぼ休みだったので2020年の正月もあまり気にせず、撮りためていたドラマを一気見したり、読書を楽しんだり、のんびりディズニーランドへの度支度をしたり例年通りウキウキして過ごしていた。
が!そんな時、コロナ感染が広がってきた。ギリギリまで空いているディズニーなんてアトラクション全制覇のチャンス!と行く気満々だったのですが、高齢の両親からの説得もあり、急遽、ディズニーランド旅行をキャンセルし、状況がどうなるか?見極めていたが、春からの仕事が全てキャンセルになり、旅行業界終わったと思って途方に暮れていた。冬が終わっても毎日家にいる私に夫が「働かないの?」とチクリ。
私はいままでに4回転職をしているけど、そのうち3回の転職は知人の紹介だったり引き抜いてもらったりで就活しない転職だったし、添乗員になったのも職探しというよりは派遣登録だったので、今回の職探しは実に28年ぶりだったから履歴書を書くこと自体久々だったし、職務経歴書なるものも始めてだった。
重い腰を上げて職探しを始めるものの年齢48才、なかなか厳しいのである。特筆できるスキルや資格があるわけでもない。立ち仕事や肉体労働は年齢的にきついし、通勤に時間をとられたくないし。デスクワーク、平日のみ、残業なし、あれも、これも、と条件をつけるとある程度の企業に絞られるわけだけど、そういった好条件の企業は応募したところで、当然人気も高い。職安に紹介を依頼すると、「現在20代の応募が3名ありますね~」と軽く“難しい”アピールされながらも、それがなんだ!とはりきって応募するも撃沈。何回かそんな応募とお悔やみを繰り返すうちに、新卒の頃の就活を思い出し泣きたくなった。
「事務職は人気だから年齢的に難しいと思うよ」夫に言われて、事務職以外にも応募したけどそれも不採用。面接の時の様子で、その会社で働きたいと思っていないことが分かったのだろう。面接官もやる気のない人間に金を払うわけがない。不採用になった原因は明らかに自分にあるのに、それでも落ち込んでしまう。どこからも必要とされていない人間なのだ、と感じてしまう。
気持ちが折れかけた時に事務職で採用が決まったのですが、その会社がブラックで。このブラック企業の話は別記事で。
とにかく、応募してから待つ時間、採用結果を待つ時間、職探しで一番苦痛なのがこの待つ時間なのです。一つ、分かったことがあります。採用されるときは、レスポンスが早いです。私の場合、面接から一週間連絡がなければ不採用でした。不採用の連絡がない会社もありました。ブラックに採用された時は一週間以内、今の会社は面接翌日に採用連絡が来ました。
誰にも必要とされてないわけではなく、ご縁がなかっただけ、と考えると少し気持ちに余裕が出ます。あとは相性が良くなかったか、自分より採用したいと思う優秀な人が運悪く競合で存在してしまったか、あるいは、そもそもの求める人材が違っていたとか、なんで採用されないのだろう?何が悪かったのだろうか?と悩むより、一週間も連絡がない会社なんてこちらから願い下げ、くらいの気持ちでガンガン前に進むことにします。超ポジティブ思考な私。不採用通知を受け取るたびガックリしていましたが、一晩寝ると立ち直っております。
若ければ何度でもやり直しができますが50才を過ぎた今、職探しなど二度としたくありません。最近では起業する人も多いですし、近い将来、終身雇用もなくなると思うので、ある程度会社勤めの後に起業することができれば最高ですよね。一般社会を知るために、人生に一度は就活して会社の一員になり社会経験を積むことで成長できることも学ぶことも多くあると思うので経験値を積みながら、少額積立投資からの早期退職、自分にしかできないスキルを習得して独立、したいときに仕事することができれば一番の理想ですね。自分が好きな事を生業とできれば最高ですね。
私は添乗員という仕事が大好きだったので旅行業を壊滅に追いやったコロナが恨めしくてたまりません。これからの旅行業界がどうなるか?見守りたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。